2013/04/05
3月31日(日)はイースター。カソリックの国リトアニアでもイースターは1つの大きな祝日としてお祝いされ、教会に行ったり家族や親戚と過ごします。
そして、イースターエッグはお馴染みの欠かせないお飾りの1つ。家族や友達と様々な方法で卵に装飾を施します。家々で古くから行われてきた方法は玉ねぎの皮などと一緒に卵をじっくりと茹でこげ茶色に染め付け、その上にナイフなどで模様をつけるというものです。ただ最近は染め粉やペイント、シールなどスーパーで様々なものが売られており、思い思いの卵を作っているようです。
今回は機会に恵まれ、3月27日(木)~30日(土)にアリトュス(Alytus)という町で開かれた伝統的なイースターエッグ作りのセミナーに行ってきました!
町の人たちが入れ替わり立ち代り家からゆで卵を持ってやって来ます。みんな夢中!!
今回、セミナーの先生を務めるのは、私も近しくさせて頂いているAudronė Lampickienė (オードロネ・ランピツキエネ)さん。今は数少ないイースターエッグ職人としてリトアニア政府からも公認され、様々な賞を受賞、ズキヤ地方(リトアニア南部)の伝統工芸協会の代表をも務める方です。チャーミングでとっても魅力的な先生です。
オードロネさんのお母様もなんとイースターエッグ職人さん!小さい頃からそんなお母様を見て育ってきたオードロネさんがこれまでに製作・絵付けを行ってきた卵はなんと6000個以上にのぼるとのこと!
こちらは本物の卵の中身をくり抜いて乾かし、その上に蜜蝋で絵付けをした上で、染めて作られているもの。一番大きい卵はガチョウの卵。ちょっと大きめのものはアヒル、そしてニワトリの卵と3種類ありました。上品な美しさにうっとり…。
蜜蝋に普通のロウを少し入れたものを溶かし、細い釘のようなペン先をロウにつけて、絵を描いてゆきます。ロウがあたたかいうちに一筆載せては、またペン先をロウに浸し、ということを延々と繰り返し、文字通り一筆づつ模様を付けてゆきます。
この作業、とても楽しいながら、集中力が要りました。1つの線を描くにも職人さんのように均等な太さ、長さ、幅にするのは本当に至難の技なんです。(私は全くできませんでした!)オードロネさんは楽しそうにどんどんと筆を進めてゆきます。描く模様は自由!その時々、瞬間に思うがままに線や点などを付け絵を描いてゆきます。
絵をつけたあと、ロウが乾いている事を確認し、卵を染色します。染色して乾いた後、ロウがついている模様部分をはがすと白い卵の殻の色が残り、白抜きで模様ができるというわけなのです。あとは蝋を剥がして、布などで磨けば完成です。
3色以上ののものは、染め分けがされています。1色目を染めて、染め粉が完全に乾くのを待ち、それから次に色を載せたいロウ部分のみを剥がし、例えば黄色なら黄色の染め粉に入れて、その部分だけ黄色にします。そして乾くのを待って、剥がして。。という感じで、1色1色染め分けているのです!なんと手間のかかること!!
そしてこちらは木製のイースターエッグ
つややかで鮮やかな卵たち、見ているだけでもウキウキします。こちらは、木片を卵型に削り出し、磨きに磨いた上でペイントしてゆきます。こちらは染めではなく、ペイントとなります。この木製イースターエッグの土台となる卵型の木はオードロネさんのお父様がご自宅の工房で1つ1つ丁寧に削り出しているんです。しかも手作業で!家も全て手作りのお父様ですから、本当に感心してしまうのですが、この均一さと美しさは見事の一言に尽きます。以前に工房を見学させて頂いた事があるので、そちらも他の機会にぜひレポートさせて頂きます。
そして『せっかくビリニュスから来たんだから、もう一人イースター職人さんを呼んであげる』というオードロネさんの特別なお計らいのもと、近所にお住まいのイースターエッグ彫り絵付けの職人さんであるRomas Karalius(ローマス・カラリウス)さんも駆けつけて下さりました。
カラリウスさんの卵彫刻作品がこちら!
目を見張る美しさは言う間でもなく、その細やかさ。もはや言葉も出ません。
しかもこれは『絵』ではなく、『彫っている』という事実が、その衝撃に拍車をかけます!
これ、ぜーんぶ手作業です!!!
ロマスさんが小さな彫刻刀で一削りづつ作業を進めてゆく様子を子供たちも固唾を飲んで見守ります。
こちらの模様付けは、ロウの絵付けとは異なり、先に卵を染色します。そして乾いてから、彫刻刀で模様を彫ってゆきます。殻が割れてしまわないかとハラハラしましたが、以外にも普通に彫っていて大丈夫です。よっぽど変に力を入れない限り壊れたりしないそうです。刃先を使って、目印の点や線を入れ、模様の均等さを保ちながら、彫り進めてゆきます。ちょっとした力の加減具合で浅く彫れたり深めに彫れたりするので、線の濃さに強弱が出て、微妙なグラデーションが出来、表現の幅が広がります。わりとあっさりとした絵付けでも1個あたり3-5時間、全体に細かな模様が入る複雑なものとなると職人さんでも2-3日はかかるそうです。
こちらの卵はローマスさんの作品ではないのですが、かなり手の込んだもので、1週間くらいかかるのではないか、とおっしゃっていました。(周りは白卵、染色をした卵です。染色したものを彫ってゆきます)
こちらは卵に細めのリネン糸を巻きつけ、その上に木片のチップを1つづつ貼り付けて模様をつけたもの。本当に気が遠くなるような手作業かと想像します…! 特に円形の小さなチップとか。。でも以外と日本の女の子も携帯デコとかネイルで訓練されているので、こういう作業は得意な方が多いのではと思いました。
ナチュラルな雰囲気がとても可愛らしく、凹凸感があってオシャレです。オブジェと呼んでもしっくりとくる感じです。
ケシの実パイやティンギ二スというチョコケーキ、ハーブティーまでご馳走になり、至れり尽せりのアットホームなセミナーで、お腹も気持ちも幸せ♪ イースターエッグの奥行きの深さに触れ、その世界にとっぷりと浸かった素敵な1日を過ごさせて頂きました。
素敵なセミナーを開いてくださったオードロネさんやローマスさん、セミナーに声をかけてくれたオードロネさんの息子さんであり私の友人でもあるビリウス(Vilius)さん、美味しいケーキの差し入れをしてくれたオードロネさんの旦那様のサウリュス(Saulius)さん、当日いろいろとサポートしてくれた娘さんのバンガ(Banga)さん、一緒に楽しいひと時を過ごした参加者の皆さま、本当にありがとうございました!!
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