2015/05/07
リトアニアもすっかり春になりました。
今は夜の9時近くまで明るく、朝も早くから明るいため睡眠時間が狂う感覚です。
ヴィリニュスの中心を流れるネリス川沿いに通称『杉原桜公園』と呼ばれている公園があります。
緩やかな傾斜上にあり、公園というよりも芝生が青々と茂るオープンスペースです。まだ小さいながらも桜の木々が立派な花を咲かせています。例年は5月の初旬から中旬ごろが見頃ですが、今年は暖冬のせいか4月の23-25日ごろが満開で、週末には多くの人たちがお花見に来ていました。私たちが家族で訪れたこの日は気温が15度近くまで上がり、とても暖かい日となりました。
入り口に当たる場所には、外交官で『日本のシンドラー』と呼ばれ、多くのユダヤ人の命を救った杉原千畝氏の功績を称えるモニュメントが建立されています。
たくさんの人たちが立ち止まって、記念碑に書かれた、桜の木が植えられた経緯を興味深げに読んでいました。そこに書かれている内容がこちらです。
『故杉原千畝氏は1900年に日本に生まれ、早稲田大学在学中に日本国外務省の留学試験に合格しハルピン学院に学び、その後外交官となった。1940年リトアニア共和国領事代理の時代に、身近に迫る戦争の危機の中にありながら、必死の覚悟と信念を以って、亡命ユダヤ人約6千名に対して、1ヶ月にわたって査証を発給しつづけ、彼らの生命を救った。
これは戦争時における輝かしい人道的行為として歴史に記憶され、永遠に語り継がれるべきものである。ここに早稲田大学は、級友として世界に誇るべき氏の功績を称えて記念碑を建立するとともに、リトアニア共和国との学術交流による友好関係がさらに深まり花咲くことを祈念して桜の木を植樹するものである。
2001年10月2日 早稲田大学』
こちらの公園の桜は杉原氏の母校である早稲田大学によって杉原氏の生誕100周年を記念して植樹されたものなのです。
ところで桜を育てるのは難しいとよく言われますが、こちらの桜も毎年きれいに花を咲かせるため、ご尽力されている方がいます。杉原千畝氏の同窓生であり日本リトアニア友好協会の会員でいらっしゃる橋本 稔さんが植樹後に桜の木の状態が良くない事を知り、2004年以降毎年、有志で春と秋に日本からこちらの公園までいらして手入れや肥料やりを行って下さっているとのことです。その甲斐あって今現在リトアニアの皆さんが約200本の満開の桜を愉しまれています。
皆さん、本当にくつろいで楽しそうな様子でした。行き交う人たちの会話や桜を背景に写真を撮る人たちは誰もが幸せな気持ちに溢れた様子でこちらも温かい気持ちになります。その口からは何度も何度も『日本』『桜』というフレーズが聞こえ、この桜が日本とリトアニアを繋いでいることが歩いているだけでも強く感じられました。
リトアニアでは野外でお酒を飲むのは法律で禁止されていますので、皆さんもっぱらノンアルコールでお花見を愉しまれています。
また、少し離れた場所では合気道のサークルが型を披露していました。
『サクラ』といえば『日本』いうイメージはこちらでもかなり定着しているようです。
杉原桜公園:旧市街地側からはBaltasis Tiltas (White Bridge)を渡ったところにある、ホテルRadisson Blu Vilniusに隣接しています。こちらの地図も参考になるかもしれません。
http://wikimapia.org/22972003/lt/%C4%8Cijun%C4%97s-Sugiharos-sakur%C5%B3-parkas
5月初旬から半ばにかけて見頃になることが多いですが、暖冬の影響などがあると早まっているようです。
ところで早稲田大学には現在『千畝ブリッジングプロジェクト』というサークルがあり、メンバーの学生さんたちは杉原千畝の功績を日本やリトアニアの人たちに伝える活動を行っていらっしゃります。実際リトアニアでも杉原千畝についてはもとより、日本について知ってもらうための様々な楽しく興味深い活動をなさっています。
いつか別の機会にご紹介できればと思いますが、まずはこちらのホームページをご覧ください。
http://www.waseda.jp/wavoc/project/2012/1222_chiune.html
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Ms.KITSUGI Junko さま、
コメントを頂戴し、有難うございます。とても嬉しく拝読しました。
亡きご主人とこちらの公園の桜の木をご覧になられていたのですね!幼木だった頃のことを思い返されると、満開の花をつけている今をご覧になって奇跡のように感じられることと思います。花の下で思い思いにくつろぐ人たちの表情は幸せに溢れこちらもまた素晴らしいことです。心ある方々のご尽力と自然の力に感謝です。
これからも少しづつですが、リトアニアについてご紹介させて頂きたく思いますので、どうぞお付き合いくださいませ。ありがとうございます!
初めて偶然こちらのブログを見つけてメール致します。
私は10年ほど前に亡夫とバルト三国の旅をし、この記念公園にも参りました。
当時はさくらも幼木で、細く頼りない木ばかりで、こちらの気候に合わないのかと心配したものです。
あれから時がたち、こんなにも美しい花を咲かせるまでに成長したなんて、夢を見ているようです。
関係者のご尽力に感謝するのみです。
リトアニア国民の皆様が日本のように花の下でくつろいで楽しんでいる様子を拝見でき、感激致しました。
可愛らしいお子様を外国でお育てになっている方のご様子も知り、嬉しく拝見しております。
どうぞこれからもお元気で、お幸せに!
そして、リトアニア国の様子をお知らせください。
御礼まで!